管理技術よもやま話

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次回予告■第三回目
〔管理技術と管理職の役割〕

■第ニ回目
〔管理技術の生い立ちと重要性〕

■第一回目
〔IT技術より管理技術で利益を上げる〕









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■第ニ回目・・・〔管理技術の生い立ちと重要性〕

管理技術の生い立ち

皆さんは、学校で〔科学的管理法〕と言う言葉を耳にしているはずです。
1911年、米国のテイラーが〔科学的管理法の原理〕を発表、今日のマネジメントの基礎となりました。
1915年、故郷のフィラデルフィアで没した後も、ガント、ギルブレス等に引き継がれ、今日の工場管理だけでなく、金融、流通、サービス等々の全てのマネジメントの基礎となりました。

皆さんは、数年前公開され大反響のあった、映画 〔タイタニック〕 を覚えていらっしゃるはずです。映画をご覧になった方は、その中のワンシーンで主人公の若い二人が、船中を逃げる場面に、巨大なシャフトが 前後する場面を記憶されているでしょうか?海の藻屑になった世界最大の蒸気機関がそれです。

英国の第一次産業革命、エンジンの主力が牛、馬、人であった時代が有史以来長く続いた後、ワットが引き金を引いた蒸気機関の実用化、馬何百頭と言う圧倒的なエンジンの出現は、大きく社会を変えます。今までは、ギルト制度と呼ばれる親方と弟子での〔ものづくり〕も、蒸気機関の出現で大変化が起こります。

生産高は、言うに及ばす大飛躍を遂げますが、革命と呼ばれるように、市民生活にも大変革を起こします。例えば、〔タイムカード〕は、この時代に生まれます。なぜか?蒸気機関のシャフトが動き出す時には、〔工員〕は、集まっていなければ、生産は出来ないのですから・・・・。
これらの〔工員〕も新たな職種として、千年前の騎士の出現以来の社会階層として生まれたわけです。

ところが、蒸気機関の革命が一段落し、蒸気機関を導入し高収益を上げた企業も、同様の設備をもつ企業との競争になって、A企業は儲かるがB企業は赤字と言うように、現在のIT導入と同様の事象となってきます。 人材も、設備も同じ工場で、生産性が異なる!又、生産性を上げ賃金を上げる方法は無いか?テイラーは考えます。(この時代は、出来高制給与が一般的で、一日の出来高が増える事は、給与単価の減少に繋がるため、巨大化された労働組合では、労働者を守る視点から、出来高の制限を行っていました)

生産性を上げて賃金を上げる・・・とは、現代の常識ですが、当時は、前述のように生産性を上げる事は、賃金が減少すると言うのが常識でした。
A社、B社の比較、実験を繰り返した〔作業研究〕から、テイラーは、次の事を発見します。
〔全ての仕事には、正しい方法と手順がある〕 注1)
この事は、全世界に爆発的な生産性の向上をもたらす、発見になりました。

仕事上の能力差で、有能な者、無能な者と現在でも言われます。〔仕事を正しい方法・手順で行う者が有能な者、正しい方法手順を知らずに又は、知っていても自分の我見で、正しい方法手順を実行しない者が、無能者と言えると思います。〕 注2)

この事象は、〔意識しない人〕が圧倒的に多い、現在でも非常に多く、企業の競争力低下の大きな要因です。
この件については、〔昔と今の日本人〕の章で、詳しく述べます。

A社は、当然に有能者が多く、B社は、無能者が多い。その為の収益力の差と言う事になります。この原理原則こそが、〔管理〕の要点で、これを実行する方策が〔管理技術〕と言う事になります。正しい方法手順で仕事をする企業と、そうでない企業の差は、どの程度でしょうか?
次の例示をご覧ください。

管理技術による利益   (年間売上高 100億円の製造業の例)

この表は、35年ほど前に、日本能率協会が発表された表です。それを、30年以上私が実施させて頂いた企業の実際値を表に〔実際値〕として追記しました。

この表は、適正な管理技術が実施されれば、年間売上高100億円の製造業で、年間19,800万円の利益が、新たに創出される事を表しています。
我国の製造業の平均経常利益率は4%です。上記の利益は、売上の2%に相当し、別の表現すれば経常利益を5割引き上げる効果があると言うことです。

さらに注目すべきは、上記の表は、金額換算可能なメリットですが、重要な納期の短縮、標準化・基準化の推進、人材の育成効果、管理技術の伝承等々の金額換算できないメリットも大きく、また、毎年効果が続く事です。これに着目した企業と、そうでない企業、企業間格差の大きな要因です。

次回は、上記の表の意味及び、管理職の役割を述べたいと思います。

注1) この定義は、著者がテイラーの原理原則を意訳したものです。テイラーの表現ではありません。
注2) この定義は、著者がテイラーの原理原則を意訳したものです。テイラーの表現ではありません。
正確には、〔科学的管理法〕F・W・テーラー著、上野陽一訳・編 (産業能率大学発行)をお読みください。

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〔著者〕
代表取締役 八木 弘泰


〔著者のプロフィール〕

資格

中小企業診断士
特種・一種情報処理技術者

経歴

1965年
コンピュータメーカSEとして、製造業向けのシステム構築に従事
17年間広範囲の業種の生産管理の構築に従事。

1982年
SEの能力不足を補い、製造業の
競争力強化を目的に、生産管理パケージMAPS-V1を開発。
潟Vステム技研を創業する。

1985年
国の投資育成制度に採用され、増資。東京にサポート拠点、新宮市に開発拠点を設置。
ビジネスショーに出展、大反響。

1986年
MAPS-V3開発、国内初の業種別業態別のの生産管理を商品化
国からOA指導員を拝命、
情報化指導業務を全国展開

1987年
複数のコンピュータメーカにMAPSをOEM提供。
メーカ系列の縛りが常識の時代にソフトはメーカ系列の呪縛を受けないと宣言。

1988年
通産省の情報化フォーラムで先進事例の全てにMAPS採用企業が
登場。

1990年
IT技術だけでは、生産管理の構築は出来ないと主張。
〔人の行動の設計〕を商品化。
MAPS-V5として市場投入。

1994年
国内初のパソコンLAN版を開発
MAPS-V6誕生。

1997年
品質管理を大幅刷新しトレサビリティを再評価しABC原価と共に、MAPS-V7を開発

1999年
創業来、注文に供給力が追従しない状況が続き、この年、大幅な納期遅延。このため、営業活動を1年間停止し、需給調整を行う。

2000年
供給力に応じた注文量とするため大手3社の販売チャンネルを閉鎖。直接販売に切換え、真の顧客貢献を実現する30名体制を確立。併行してMAPS普及のためM&Aを事業方針に掲げる。

2002年
製造業の全業務を一体化するため、販売管理を統合、人事財務も他社システムとの接合部を開発、MAPS-V8の誕生

2006年
製造業現場のレベル低下に応じて、集中型システムを構築。
現場の運用負担を大幅に軽減
MAPS-V9の誕生

2008年
2000年以来、M&A候補会社20社以上と交渉。 最良の相手として、阪急阪神Gを選択、全株式を譲渡する。

2009年
経営・技術の引継ぎを終え
潟Vステム技研顧問退任。

2010年
「管理技術」の製造業・農業他への普及、定着化のため、活動を開始